産まれる時の想像と現実

紹介する前に

産まれるまでの経緯は下の日記の通りですが

産まれた瞬間

第三回状況報告と第四回状況報告の間

どういう状況になっていたかを記してきます。

思い描いていた出産時の夫といえば、

”暗い分娩室前廊下のベンチに座りタバコを20本ぐらい吸って消した瞬間、、、”

そんなとは全く違いました。

立会い出産

第三回状況報告が午前8時22分

ここから約5時間後にあいつは産声をあげます

9時半ぐらい

長い微小陣痛の為、陣痛促進剤が点滴で投与されました

30分ぐらい経っても変化なし。先長そうだなと勝手に思い仕事の電話をしに食堂へ

その時一緒に来ていた嫁の義母から着信。なんだろ?と思い陣痛室に戻ると

義母「破水したよ!」

“破水”て響きが何か怖くて、「大丈夫か?」と本人に聞くと「びっくりしたぁ」と

しかし直後から陣痛の間隔が一気に早まる

それまで10分間隔ぐらいだった弱い陣痛が、2~3分間隔に

そして痛みも強まった様子

嫁「うぅ~~~、うぅ~~~」(2~3分置きに)

痛そうで心苦しい。こんな嫁を見るのは初めてだ。ふざけ合って首を捻挫した時より痛そうに

耐えられんのか?と思う

タオルで顔を覆い唸るばかり。お茶を飲む事すら出来なくなった

お腹に付けた線から繋がる機械が赤子の心拍数と陣痛の強さを折れ線グラフで示す

陣痛の強さが大体20から30の間。出産直前は100ぐらいと助産師が言ってた

「まだ20~30だよ?」とは言えなかった。これで30。。言ったらぐったりだろな

助産師さんから自分に課せられた仕事は痛みの間隔時間をメモる事。

この時間で出産のタイミングが分かる仕組み。。メモリまくり

これしか出来る事がないっつう歯痒さ。

出来るなら代わってあげたい。。。とは全く思わない。イヤだ。絶対イヤだ!

未体験ゾーンへの不安とは裏腹に弁護士:江川紹子似の助産師(※以下江川)は余裕綽々

江川「うんちが出るような感覚だけど、うんちじゃないからね☆」

嫁「はい」

江川「うんちだったりして!てへ☆」

嫁「・・・」

一瞬、持ってたペットボトルを投げつけようかと思ったけど、その余裕が安心させてくれた

2~3分置きの強い陣痛が1時間以上続いた

12時ぐらい

遂に車イスで分娩室へ

もう歩く事さえ出来なくなった。どこがどんだけ痛ぇんだろ

さっきまで笑いながら味噌汁飲んでたのが数時間でこれ。恐るべし陣痛促進剤

車イスから分娩台へ上がるのもやっと

江川指導のもと、ヒ・ヒ・フーーーー。。かと思いきや

江川「ふーーーーーーうん!!だからね☆」

なんだそれ?

嫁「ふーーーーーーうん!!」

そうなんだ。

次々と思い描いてた出産シーンが覆される

江川もナース服から、あの抹茶色した手術着に

江川「力んで良いんだからね!!出来るだけ長く!!」

我「力んで良いんだって!!長くだって!!」

嫁「うーーーーーーーーーーー!!!!」

江川「もっと長く!!長く!!」

嫁「うーーーーーーーーーーー!!!!」

江川「次の波が来る前に水とか飲んで良いんだからね?」

我「水飲む?」

嫁「いらない」

江川「はい、がんばって!!」

嫁「うーーーーーーーーーーー!!」

オレ、いらなくね?

江川「旦那さん!力む時にママの頭を前に押してあげて!!」

左手は手を握り、右腕を嫁の首後ろに潜りこませて嫁が力むのと同時に”ゆっくりウエスタンラリアート”を繰り返した

ふと光景を落ち着いて眺めてみると、まさに想像していた”出産”の景色になっていた

力んでる時の顔は今迄見た事の無い嫁の顔、というより見た事の無い”人間の表情”だった

首筋の色はザクロの様な色に変わり、声は身体の相当奥から搾り出るような音

目というより眼を見開き涙、自分の左手を握る力に母の力強さを感じた

12時40分ぐらい

江川「12時台で産まれるか13時台で産まれるかはママのがんばり次第だよ!!」

モチベーションの持っていき方がよく分からないけど、もう少しで産まれんの?

江川「もう髪の毛見えてるからね!」

すげぇ痛そう。苦しそう

13時10分ぐらい

?「大丈夫ぅ~~~~?」

新助産師登場。吉行和子似(※以下吉行)

江川「うん、助かる~」

吉行「そろそろだねぇ」

嫁「うぅぅぅぅーーーーーーーー!!!」

そろそろっぽい。実にそろそろっぽい

奥から産科医登場!!角野卓造似(※以下角野)

角野「そろそろだね~」

江川「さあ産まれるよぉ!力一杯りきんで!!来た?長くだよ!」

嫁「うぅぅぅぅーーーーーーーー!!!」

江川「もうちょっとだよ!頭見えてるからね!がんばれ!」

角野「がんばれ!がんばれ!」

吉行「何すればいい?」

江川「旦那さん!位置代わってもらっていい?頭の方に行って!」

吉行が嫁の左側に入り。自分は嫁の頭の側に回った

角野「もう出るね~~」

江川「旦那さん、そこにある”うちわ”でママを仰いであげて!」

痛みに耐え最後の力を振り絞る嫁

足元には赤子を取り出す為、出産の最終仕上げにやってきた産科医、角野!!

右側に的確な処置と安心を与える対応で、全てを統括してくれた助産師、江川!!

左側には最終的なサポート役としてやってきたベテラン助産師、吉行!!

嫁の頭上で呑気にウチワで微風をそよがすオレ!!

準備は整った

行けぇーーーーー!!!! そよそよ(うちわ)

江川「来た?」

嫁「うぅぅぅぅーーーーーーーー!!!」

吉行「せーのっ!!」(嫁の腹に手を置いて)

吉行「はい!はい!はい!はい!」(お腹を押す!押す!押す!押す!)

いいぃーーーー???そんな力技??

嫁「痛ぃーー!!!うぅぅぅぅーーーーーーーー!!!」

そりゃ痛ぇだろーーーー!!w

嫁「はぁはぁはぁ」(グロッキー)

江川「もうちょっとだったね~~」

角野「次でいけるね」

吉行「ふぅ」

壮絶過ぎる。。嫁の力みというか、これ吉行の押す力次第じゃないか?

江川「ママ!次ので産まれるからね?最後のひと踏ん張りだよ!」

角野「最後だね」

嫁「はぃ。」

沈黙(うちわ)

沈黙(うちわ)

沈黙(うちわ)

嫁「う、」

江川「来た?」

嫁「ううぅーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

角野「頭出たよ!」

吉行「はい!はい!はい!はい!」(お腹を押す!押す!押す!押す!)

すげー押してる!!!!!!!

江川「肩出た!」

産まれる

おーーーーーーー!!!   13時27分

色々なものにまみれた赤子

その赤子を抱き泣く嫁

嬉しかった

人間誕生!

泣いてはないけど潤んだ